NIPPONIA 美濃商家町 MINO MERCHANT TOWN

満月 × Season Lao紙商の数奇の心宿る、茶室を備えた母屋

定員6人 97.33平米/和室 11.5帖+4帖+2帖 洋室1間 1F
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「坐辺師友」

自然の余白と対峙し、かつての和紙商人の栄華に思いを馳せる

NIPPONIA 美濃商家町 — 満月

岐阜県美濃市うだつのあがる町。かつて和紙の商人たちで栄えたこの町の中心に、宿泊施設「NIPPONIA美濃商家町」があります。繁栄を遂げた紙商・松久才治郎の賓客をもてなすために建設された別邸を、築90年の趣をそのままに、宿泊施設に改修しました。

豪快で商才に長けた才治郎ですが、一方ではお茶をこよなく愛した数寄者、文化人でもありました。どの部屋からも心地よい風光や、美濃の自然の恵みを楽しむため、大小5つの庭を囲むような間取りとし、茶室は稽古場を含めて4部屋配置されています。庭からつくり始め、完成まで5年の歳月をかけた旧松久才治郎邸の主屋で、最も趣向を凝らした茶室と庭と書院を、「満月」という名の客室として改修しました。重厚な畳床、四方柾目の床柱、総柾目の天井。時に庭と協調し、時に結界となる障子戸、雅やかな襖戸、波打つ無双窓、欄間や引手の一つにも主の趣味が見て取れ、巡るうちに最大限のもてなしの意が込められた建物であると気づきます。

Lotuses 2 氷蓮図(二)- Season Lao / 755×1680mm / 2019, handmade-paper, ink,photography 

今回、主屋の中でも最も広々としたお部屋「満月」の本茶室に、Season Lao「氷蓮図」が特別展示されました。(特別公開期間は2021.12.31まで)
→ シーズン・ラオ特別宿泊予約 / HOTEL RESERVATION

「氷蓮図」ではシーズン・ラオが東北で出会った光景がうつしとられています。 凍った池に、静かに終焉を迎えようとしている蓮の姿です。凍って止まった蓮の息は、風に揺られて息づき、眠れる遠の生命は、根の空間と、自然の白雪や雲が生み出す水墨画のような「間」となって表されており、繊細と静寂の作品中に東洋的自然観のミニマリズムを連想させます。

かつて主人がお茶で客をもてなした空間で自然の余白と対峙する時間は鑑賞者の精神性を引き出します。北大路魯山人の言葉 「坐辺師友(優れたものに囲まれて生活していると その心を自ずと学びとることができる)」を 思い起こさせる空間となっています。

「シーズン・ラオ 美濃・余白」

GALLERY COLLAGE

「NIPPONIA美濃商家町」内の資材蔵だった空間を改修し2021年4月新しくオープンした「GALLERY COLLAGE」の杮落としとしてシーズンラオ氏が招聘されました。これまでも手漉きの紙を作品に使用してきたラオ氏ですが、美濃の歴史や人々と触れあい、和紙職人との対談や滞在経験を経て、美濃和紙という素材に宿る精神、またその美しい白さに惹かれ、美濃の新作を含めた「シーズン・ラオ 美濃・余白」を開催する運びとなりました。(Gallery展示期間:2021.4.27-9.26)

Mino,Gifu,Japan - Season Lao / 1270×920mm / 2021, Hon-Mino-shi paper,ink,photography
GALLERY COLLAGE 「シーズンラオ 美濃・余白」展示風景
板取川での撮影風景

「偶然は必然と実感します。」


美濃に滞在した三日間の間に降った大雪。 雪化粧に包まれた板取川の白。 その川の両岸に住む美濃の方々からの多大な協力は彼にとって美濃の文化、歴史、自然と交わりながら美質と本質を理解する貴重な滞在となりました。この展覧会が、美濃の記憶から現代へと繋げる一つのきっかけになることを願います。

美濃和紙職人澤村 正(右)とシーズン ラオ(左)澤村氏の工房にて

自然と一体となり紙を漉くことへの共感


70年以上和紙を漉き続けている和紙職人 澤村正氏は、無形文化遺産に登録される本美濃紙を漉く数少ない職人の一人です。シーズン・ラオは美濃の滞在中、澤村氏の工房を訪れました。澤村氏は「人は自然の中ではとても弱い生き物だ」と話します。気分の乗らない時も凍てつくような寒い冬も、同じ工程で和紙を漉き続けているからこそ感じる、自然や身体感覚の機微。それらをコントロールするのではなく手放し無心で漉き続けることの難しさを澤村氏は語ります。東日本大震災をきっかけに人と自然が共生する必要性を考えるラオ氏にとって、自然を敬いながらも身を委ね、自然と一体となり紙を漉くことと向き合い続ける澤村氏の精神性に触れたことは、作品作りに大きな影響を与えました。

美濃のまちを新たな視点から捉える

Opening reception & Workshop

展覧会のオープニングイベントとしてラオ氏によるワークショップを開催し、美濃のまちの人々に参加していただきました。普段生活している日常の風景の中に流れる歴史に触れ、各自アーティストステートメントを作り、撮影を行い、それをラオ氏が後日講評するというもの。参加者にはその場所の気配を感じ、深く理解し、感性や発想を発揮することが求められます。ラオ氏からは現代アートの考え方や撮影するときの精神性、時間を経て自分の作品を見ることの面白さなどの講義があり、その学びを経てを伝えました。参加者が各々で作品を制作し、現代美術作家と直接交流するこのワークショップと展示を通じて、美濃のまちを新たな視点でとらえ発見する面白さを学びとる有意義な時間となりました。

Artist Profile
シーズン・ラオ ( Season Lao 劉善恆 )
1987年マカオ生まれ、京都在住。マカオ理工学院大学卒業。変わりゆく地元のアイデンティティの模索をしたいという思いから作り上げた彼の作品が反響を呼び、生家を含む歴史的建造物群の価値が再評価されて取り壊しが中止になる。二十代の十年間で北海道に移住。東日本大震災をきっかけに、人と自然が共存する道を探す必要性を強く感じる。彼はその後東洋美術の精神性を取り入れて、グローバリズムの中で社会問題を反映する作品を制作している。現在は京都を拠点にしながら、アジアと 欧米の展示会やアートフェアで作品を発表している。 日本、台湾、韓国、中国、アメリカ、イタリア、スイス、シンガポール、などコレクション多数。